サラブレッドの血統 |
サラブレッド
サラブレッドとはthorough(完全に)、bred(改良されたもの)という意味。17世紀にイギリスの在来牝馬に東洋から輸入したアラブ種の牡馬を交配したのがルーツ。その中から優秀な競走成績を残した牡馬を選んで種牡馬とし、より速く走れる馬を作りつづけてきた。その改良の試みは現在もなお、世界中で行われている。競馬がブラッドスポーツ(血統のスポーツ)といわれるのは、こうした歴史的な理由による。ただし、血統をいくら詳細に検証してもレースの勝ち馬がわかるわけではない。血統はその馬の個性を推理するときの、1つの手がかりとして楽しむといいだろう。
血統に注目する理由
競馬でしばしば血統がいい、良血馬、短距離血統、長距離血統といったコメントを耳にする。競馬新聞の出走場名欄にも父馬、母馬、母の父馬が記されていて、競馬において血統が重要なファクターになっていることがわかる。血統とはその馬の先祖をさかのぼり、先祖の名馬が残したレース成績や繁殖成績を中心に、馬格や性格など競走馬にとって必要と思われる情報を集積したものといえる。
血統がいい
実績のある種牡馬と血統的に優れた牝馬との間に生まれた産駒のこと。母馬が血統的に優れているというのは、母親自身が一流の競走馬だったり、その牝系から優秀な競走馬がたくさん出ている場合をいう。
血統登録のない競走馬はいない
世界中のすべての競走馬は血統が記録されている。逆にいうと、血統登録証明書を持たない馬は競走馬にはなれない。元祖は1793年にイギリスで発行された『ジェネラル・スタッド・ブック』で、以後各国で刊行された。日本では1941年に日本競馬会が、出版し、現在は日本軽種馬登録協会が管理している。2009年には日本国内で6907頭が血統登録証明書を発行されている。現在は固体識別のため、仔馬のうちにマイクロチップを埋め込む処理が推進されている。
血統には父系と牝系がある
父方の血統を父系、母方の血統を牝系という。競馬で血統を楽しむレベルなら、父(サイアー)とその父系、母、母の父(ブルードメア・サイアー)、母の母(祖母)、その母(3代目)ぐらいまでの14頭を調べるのが一般的だ。どんなに詳しくても5代で十分だろう。
|
主な大種牡馬 |
サンデーサイレンス系
日本では2009年のリーディングサイアーランキング・ベスト10中5頭がサンデーサイレンス(1986年生まれ)の直仔種牡馬が占め、サンデーサイレンス系が隆盛を誇っている。
ノーザンダンサー(1961年生まれ)
70年代に世界を席巻した血統。世代を重ねて枝分かれした中ではサドラーズウェルズ系とダンジグ〜グリーンデザート系が主流。日本ではノーザンテーストが80〜90年代にかけて一時代を築いた。
ミスタープロスペクター(1973年生まれ)
80年代末のアメリカ競馬で台頭してきた血統。当初はダートの短距離向きとみられていた。だが、世代を重ねるごとに活躍の場を世界的に広げ、1つのイメージでくくるのはむずかしい。日本ではキングカメハメハが好成績を挙げている。
ヘイルトゥリーズン(1958年生まれ)
直仔種牡馬は多かったが徐々に淘汰され、現在はほぼヘイロー系とロベルト系に二分される。日本ではヘイロー直仔のサンデーサイレンス、ロベルト系のブライアンズタイムを起点に勢力を伸ばしている。
ナスルーラ(1940年生まれ)
枝分かれの多い父系で、日本ではテスコボーイ(代表産駒・トウショウボーイ、サクラユタカオー)、ミルジョージ(代表産駒・ミホノブルボン・イナリワン)が成功。現在はサクラバシンオー、ジャングルポケットなどが活躍している。 |
血統表を見てみよう |
ローズキングダムの血統表
牡 黒鹿毛 2007.5.10生 北海道安平
キングカメハメハ
鹿毛 2001 |
kingmambo
鹿毛 1990 |
Mr.Prospector |
Miesque |
マンファス IRE
黒鹿毛 1991 |
ラストタイクーン IRE
|
Pirot Bird |
ローズバド
青毛 1998 |
サンデーサイレンス USA
青鹿毛 1991 |
Halo |
Wishing Well |
ロゼカラー
鹿毛 1993 |
Shirley Heights |
ローザネイ FR |
ローズキングダムの場合、キングカメハメハ〜キングマンボ〜ミスタープロスペクターとさかのぼるのが父系。ローズバド〜ロゼカラー〜ローザネイとさかのぼるのが牝系。カタカナ表記+国名表記があるのは輸入馬、アルファベット表記は外国馬。なおIRE=アイルランド、FR=フランス、数字は生年。
|